任意後見と法定後見の違いを司法書士が解説|どちらを選ぶべき?手続きの流れと費用も比較

2026.03.12
任意後見と法定後見の違いを司法書士が解説|どちらを選ぶべき?手続きの流れと費用も比較

任意後見と法定後見の基本的な違い

認知症や精神的な障害により判断能力が低下した場合に、本人の権利や財産を守るための制度が「成年後見制度」です。この制度には「任意後見」と「法定後見」の2つの種類があり、それぞれ異なる特徴と手続きがあります。

最も大きな違いは、いつ準備を始めるかという点です。任意後見は判断能力があるうちに事前に準備する制度であり、法定後見は判断能力が低下してから家族などが申し立てる制度です。

任意後見制度とは

任意後見は、本人がまだ十分な判断能力を有している段階で、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自分で選んだ人(任意後見人)に代理権を与える契約を結ぶ制度です。

この契約は公正証書で作成する必要があり、実際に判断能力が低下した際に家庭裁判所に申し立てることで効力が発生します。

法定後見制度とは

法定後見は、すでに判断能力が不十分になった人について、家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれています。

任意後見のメリットとデメリット

任意後見のメリット

1. 後見人を自分で選べる
最大のメリットは、信頼できる人を自分で後見人として指定できることです。配偶者、子供、兄弟姉妹、友人、専門職など、本人が最も信頼する人を選ぶことができます。

2. 契約内容を自分で決められる
任意後見契約では、後見人にどのような権限を与えるかを具体的に決めることができます。例えば、「定期預金の解約は認めるが、株式投資は禁止する」といった細かな指示も可能です。

3. 本人の意思を反映できる
将来への備えとして、本人の価値観や希望を契約書に盛り込むことができます。

任意後見のデメリット

1. 取消権がない
任意後見人には、本人が行った不適切な契約を取り消す権限がありません。これは法定後見との大きな違いです。

2. 効力発生まで時間がかかる場合がある
判断能力が低下した際に家庭裁判所への申し立てが必要で、手続きに時間がかかることがあります。

3. 契約時から費用が発生する
公正証書作成費用や専門職への報酬など、契約締結時点から費用が発生します。

法定後見のメリットとデメリット

法定後見のメリット

1. 取消権が認められる
後見人等には、本人が行った不適切な契約を取り消す強力な権限が与えられます。これにより悪質商法などから本人を守ることができます。

2. 迅速な対応が可能
すでに判断能力が低下している状況で開始されるため、緊急性のある財産管理や身上監護を即座に行うことができます。

3. 家庭裁判所の監督がある
後見人等の活動は家庭裁判所が監督するため、不適切な後見活動を防ぐことができます。

法定後見のデメリット

1. 後見人を選べない
家庭裁判所が後見人を選任するため、家族が希望しても必ずしもその人が選ばれるとは限りません。

2. 本人の意思が反映されにくい
本人の過去の意思や価値観よりも、客観的な判断基準が優先される場合があります。

3. 手続きの負担が大きい
申立てに必要な書類が多く、医師の診断書なども必要で、手続きが複雑になります。

具体的な事例で見る違い

事例1:Aさん(75歳)の場合

Aさんは元気なうちに、長男のBさんを任意後見人として契約を結んでいました。契約書には「自宅は絶対に売却しない」「施設入所の際は○○ホームを希望する」という本人の意思が明記されていました。

2年後、Aさんが認知症を発症し判断能力が低下。家族が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てを行い、Bさんが任意後見人として活動を開始しました。Aさんの意思に従って自宅を維持し、希望する施設への入所手続きを進めることができました。

事例2:Cさん(80歳)の場合

Cさんは特に準備をしていませんでしたが、急に認知症が進行し、悪質な訪問販売で高額な商品を購入してしまいました。娘のDさんが慌てて法定後見の申し立てを行い、家庭裁判所が専門職後見人を選任しました。

後見人は取消権を行使して悪質商法の契約を取り消し、Cさんの財産を守ることができました。しかし、Cさんが大切にしていた趣味の骨董品収集は「不適切な支出」として制限されることになりました。

手続きの流れと費用の比較

任意後見の手続きと費用

契約締結時

  • 公証役場での公正証書作成
  • 費用:公証人手数料11,000円、登記嘱託手数料1,400円、登記印紙代2,600円など

効力発生時

  • 家庭裁判所への任意後見監督人選任申立て
  • 費用:申立手数料800円、登記手数料1,400円、鑑定費用など

法定後見の手続きと費用

申立時

  • 家庭裁判所への後見開始申立て
  • 必要書類:申立書、診断書、財産目録、収支予定表など
  • 費用:申立手数料800円、登記手数料2,600円、鑑定費用5~20万円など

どちらを選ぶべきか?専門家からのアドバイス

任意後見が適している場合

  • 現在、判断能力に問題がない
  • 将来への備えを積極的に考えたい
  • 信頼できる人が身近にいる
  • 自分の意思や価値観を将来にわたって反映させたい
  • 財産管理について具体的な希望がある

法定後見が適している場合

  • すでに判断能力が低下している
  • 悪質商法などの被害に遭っている
  • 緊急に財産を守る必要がある
  • 身近に信頼できる人がいない
  • 客観的で公平な判断を求める

専門家へのご相談をお勧めします

任意後見と法定後見のどちらが適しているかは、個々の状況によって大きく異なります。ご家族の状況、財産の内容、将来への希望などを総合的に考慮して判断する必要があります。

当事務所では、成年後見制度に関する豊富な経験を基に、お客様一人ひとりの状況に応じた最適なアドバイスを提供しています。任意後見契約書の作成から法定後見の申立て手続きまで、幅広くサポートいたします。

将来への備えは早めに始めることが大切です。まずはお気軽にご相談ください。初回相談は無料で承っており、お客様のご都合に合わせて柔軟に対応いたします。


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