家族信託はいつまで続く?終了の判断タイミングと手続きの流れを専門家が解説

2026.04.27
家族信託はいつまで続く?終了の判断タイミングと手続きの流れを専門家が解説

親御さんの認知症対策や相続対策として家族信託を検討されている方、また既に家族信託を設定された方の中には、「家族信託はいつまで続くのか」「どのタイミングで終了させるべきか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

家族信託は一度設定すれば永続的に続くものではありません。適切なタイミングで終了させることで、その後の相続手続きをスムーズに進めることができます。今回は、家族信託の終了について、具体的なケースを交えながら詳しく解説いたします。

家族信託の終了事由とは

家族信託が終了する事由は、信託法および信託契約書に定められています。主な終了事由は以下の通りです。

1. 信託期間の満了

信託契約書で定められた期間が満了した場合に終了します。多くの家族信託では「委託者の死亡から30年後」などの期間を設定しています。

2. 信託目的の達成・不達成

信託の目的が達成された場合、または達成することが不可能になった場合に終了します。例えば、「親の介護費用の確保」が目的の場合、親御さんが亡くなられた時点で目的は達成されたと考えられます。

3. 受益者の死亡

受益者が亡くなり、後継の受益者が定められていない場合は信託が終了します。

4. 当事者の合意による終了

委託者、受託者、受益者が合意すれば、いつでも信託を終了させることができます。

家族信託を終了させるべきタイミング

実際に家族信託を終了させるタイミングは、各家庭の状況によって異なります。司法書士法人GKでは、これまで多くのご家庭の家族信託終了をサポートしてきましたが、以下のようなタイミングが一般的です。

親御さんが亡くなられた後

最も多いケースです。親御さんの認知症対策として設定した家族信託は、親御さんが亡くなられた時点で当初の目的を果たしたと考えられるため、相続手続きと併せて信託終了の手続きを行います。

信託財産を売却・処分したい時

信託財産である不動産を売却したい場合や、信託財産の管理が困難になった場合などに終了を検討します。

受託者の変更が困難な場合

受託者である子どもが遠方に住んでいて管理が困難になった場合や、受託者自身の体調不良などにより、新たな受託者を見つけることが困難な場合に終了を選択することもあります。

具体的なケーススタディ

実際の事例を通じて、家族信託の終了について理解を深めていただきましょう。

【ケース1】福井市在住のAさん(80歳)の事例

Aさんは認知症対策として、長男のBさん(東京在住・50歳)を受託者とした家族信託を設定していました。信託財産は自宅と預貯金1,000万円です。

Aさんが85歳で亡くなられた後、Bさんは相続手続きと併せて家族信託の終了手続きを行いました。この場合、信託の目的(Aさんの認知症対策)が達成されたため、自然な終了タイミングでした。

【ケース2】石川県在住のCさん(75歳)の事例

Cさんは娘のDさん(大阪在住・45歳)を受託者として家族信託を設定しましたが、Dさんの転勤により管理が困難になりました。他に適切な受託者候補がいないため、関係者で協議の上、信託を終了することにしました。

この場合は「当事者の合意による終了」に該当し、信託契約書の定めに従って終了手続きを行いました。

家族信託終了の具体的な手続き

家族信託を終了させる際の手続きは、以下のような流れで進みます。

1. 終了事由の確認

まず、信託契約書を確認し、どの終了事由に該当するかを明確にします。契約書に特別な定めがある場合は、それに従って手続きを進めます。

2. 関係者への通知

信託が終了することを、受益者やその他の関係者に通知します。法定の通知期間が設けられている場合もあるため、注意が必要です。

3. 信託財産の清算

信託財産の現状を把握し、必要に応じて売却や換金を行います。また、信託期間中に発生した債務がある場合は、それらの清算も行います。

4. 残余財産の分配

清算後の残余財産を、信託契約書に定められた方法に従って分配します。多くの場合、相続人に対して分配されます。

5. 登記手続き

信託財産に不動産が含まれている場合は、信託登記の抹消手続きを行います。この手続きにより、不動産の名義が受託者から最終的な権利者に移転されます。

家族信託終了時の注意点

税務上の取り扱い

家族信託の終了時には、税務上の取り扱いにも注意が必要です。信託財産の分配時に贈与税や相続税が課税される可能性があります。事前に税理士と相談することをお勧めします。

登記手続きの期限

信託登記の抹消手続きには期限が設けられています。期限を過ぎると過料が課される可能性があるため、速やかに手続きを行う必要があります。

受益者への説明責任

受託者は、信託終了時に受益者に対して信託財産の管理状況や清算結果について説明する義務があります。透明性を保つためにも、詳細な報告書を作成することが重要です。

専門家に相談するメリット

家族信託の終了手続きは複雑で、法律や税務の専門知識が必要です。特に遠方にお住まいの場合、現地での手続きが困難なこともあります。

司法書士などの専門家に依頼することで、以下のようなメリットがあります:

  • 適切な終了タイミングの判断
  • 複雑な法的手続きの代行
  • 税務面でのアドバイス
  • 関係者間の調整
  • 必要書類の作成・収集

まとめ

家族信託は、設定だけでなく適切な終了も重要です。終了のタイミングや手続きを間違えると、思わぬトラブルや追加の費用が発生する可能性があります。

特に、親御さんが北陸地方にお住まいで、ご自身が東京や大阪にお住まいの場合、地理的な制約もあり、一人で手続きを進めるのは困難かもしれません。

家族信託の終了について不安や疑問がございましたら、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。適切なアドバイスを受けることで、スムーズな手続きと安心できる相続対策が実現できるでしょう。


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寄稿者:司法書士 渡邉 健介