ホームページを通じて土地、建物の贈与手続のご依頼を頂く機会が多いので、贈与について記載します。
⑴贈与の方法
土地、建物などの不動産もチョコレートやおもちゃのように、「あげる」と言うことで贈与することが出来ます。
ですが、土地や建物は通常「登記」されていますので、登記の名義を変更しなければ、登記簿の所有者が切り替わらないことになります。
そこで「贈与証書」を作成し、記録を残します。
登記するためには次の書類が必要です。
①贈与証書(登記原因証明情報)
②登記済権利証(登記識別情報)
③贈与する方の印鑑証明書(3ヶ月以内に取得したもの)
④贈与を受ける方の住民票
⑵贈与する場合の注意点
不動産は評価が高額であることが多く、贈与によって税金がかかるケースがあります。贈与の場合にかかる税金は主立ったもので以下の通りです。
①贈与税
②不動産取得税
③登録免許税(登記費用)
よくある誤りとしては、土地の評価額を固定資産税評価額と同額と思い込んで贈与を行ってしまうケースです。路線価地域では路線価を基にした金額が評価額となりますし、それ以外の地域でも倍率表に基づいて割り増しした金額が評価額となります。
また、住宅ローンなどの債務者を切り替えるタイミングで建物を贈与することがあります。この場合、「負担付き贈与」となり、評価は時価評価を採用しなければなりません。贈与した側の方も「みなし譲渡」として譲渡所得税が課されるケースもあります。
また、親の建物を子どもがリフォームしてあげる場合にも、子から親への贈与になる事があります。例えば、リフォームのために住宅ローンを組み、子どもが債務者となって親名義の建物をリフォームするケースです。
この場合、リフォーム業者と請負契約を交わす前に、事前に親から建物を贈与してもらったり、共有持分の贈与を受ける事で対応します。或いは親から建物を購入することもあるでしょう。(但し、親族から建物を購入しても住宅ローン控除が使えないことがあるので事前にしっかりと確認しましょう)
⑶贈与税の課税を指摘されてしまった場合
贈与税の勘違いがもとで税務署から指摘を受けてしまった場合、税務署と協議の上その指示に従うことが必要となります。
その場合、「真正な登記名義の回復」という登記を行ったり、「代物弁済」という登記を行う事になります。
これらの登記にも登録免許税が課せられます。簡単な手続だと思い込まずに、税理士や税務署に確認してから贈与の手続を進めましょう。
司法書士 渡邉健介