家族信託の費用はいくら?財産額別シミュレーションで解説【福井の司法書士が教える】

2026.04.06
家族信託の費用はいくら?財産額別シミュレーションで解説【福井の司法書士が教える】

家族信託の費用について知っておきたい基本知識

親御さんが高齢になり、「もし認知症になったら財産管理はどうしよう」「相続でもめないか心配」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。そんな中で注目されているのが「家族信託」という仕組みです。

家族信託は、親が元気なうちに信頼できる家族に財産の管理を託す制度で、認知症対策や相続対策に非常に有効です。しかし、「費用がどのくらいかかるのか分からない」という声をよく耳にします。

司法書士法人GKでは、これまで多くの家族信託のお手伝いをさせていただく中で、費用に関するご相談を数多く受けてまいりました。今回は、財産額別の具体的なシミュレーションを交えながら、家族信託の費用について分かりやすく解説いたします。

家族信託にかかる費用の内訳

家族信託を設定する際にかかる費用は、大きく分けて以下の4つに分類されます。

1. 信託契約書作成費用(司法書士報酬)

信託契約書の作成や法的なアドバイスに対する司法書士への報酬です。財産の種類や複雑さによって変動しますが、一般的に30万円~100万円程度が相場となっています。

2. 不動産の信託登記費用

不動産を信託財産とする場合に必要な登記手続きの費用です。登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)と司法書士の登記報酬が必要となります。

3. 公正証書作成費用

信託契約書を公正証書として作成する場合の公証人手数料です。信託財産の価額に応じて5万円~20万円程度が目安となります。

4. その他の実費

戸籍謄本や印鑑証明書の取得費用、郵送費など、数千円~数万円程度の実費がかかります。

財産額別費用シミュレーション

それでは、具体的な財産額に応じた費用シミュレーションをご紹介します。北陸地方でよくあるケースを想定してみました。

ケース1:財産総額3,000万円(自宅+現金)のAさん

財産内容:

  • 自宅不動産:2,000万円(固定資産税評価額)
  • 預貯金:1,000万円

費用内訳:

  • 司法書士報酬(契約書作成):50万円
  • 不動産信託登記費用:8万円(登録免許税)+ 5万円(登記報酬)
  • 公正証書作成費用:11万円
  • その他実費:2万円

合計:約76万円

ケース2:財産総額5,000万円(複数不動産+現金)のBさん

財産内容:

  • 自宅不動産:2,500万円(固定資産税評価額)
  • 賃貸アパート:1,500万円(固定資産税評価額)
  • 預貯金:1,000万円

費用内訳:

  • 司法書士報酬(契約書作成):70万円
  • 不動産信託登記費用:16万円(登録免許税)+ 8万円(登記報酬)
  • 公正証書作成費用:17万円
  • その他実費:3万円

合計:約114万円

ケース3:財産総額8,000万円(複数不動産+株式+現金)のCさん

財産内容:

  • 自宅不動産:3,000万円(固定資産税評価額)
  • 収益不動産2件:3,000万円(固定資産税評価額)
  • 株式・有価証券:1,000万円
  • 預貯金:1,000万円

費用内訳:

  • 司法書士報酬(契約書作成):90万円
  • 不動産信託登記費用:24万円(登録免許税)+ 12万円(登記報酬)
  • 公正証書作成費用:17万円
  • その他実費:5万円

合計:約148万円

家族信託の費用を抑えるポイント

信託する財産の範囲を明確にする

すべての財産を信託に組み入れる必要はありません。認知症対策や相続対策として本当に必要な財産のみを信託することで、費用を抑えることができます。

信託契約の内容をシンプルにする

複雑な条件を設定すればするほど、契約書作成の手間が増え、費用も高くなります。目的を明確にして、必要最小限の内容で設計することが重要です。

早めの相談で選択肢を広げる

親御さんが元気なうちに相談することで、より効率的で費用対効果の高い設計が可能になります。認知症が進行してからでは選択肢が限られてしまいます。

他の相続対策との費用比較

家族信託の費用を検討する際は、他の相続対策との比較も重要です。

成年後見制度との比較

成年後見制度を利用する場合、初期費用は10万円程度と安価ですが、後見人への月額報酬(2万円~6万円)が継続的に発生します。10年間利用すれば240万円~720万円となり、家族信託よりも高額になる可能性があります。

遺言書作成との比較

公正証書遺言の作成費用は10万円~30万円程度と安価ですが、認知症対策にはなりません。生前の財産管理も考慮すると、家族信託の方が包括的な対策となります。

福井県での家族信託設定時の注意点

福井県内で家族信託を設定する際は、地域特有の事情も考慮する必要があります。

地方の不動産事情

福井県の不動産は、都市部と比べて流動性が低い傾向にあります。将来的な売却可能性も含めて信託設計を行うことが重要です。

家族の地理的分散

お子さんが東京や大阪にお住まいの場合、受託者として適切に財産管理ができるか、事前に十分な検討が必要です。

まとめ:家族信託は長期的な視点で検討を

家族信託の設定費用は、財産額や複雑さによって50万円~200万円程度が一般的な相場となります。一見高額に感じられるかもしれませんが、以下のメリットを考慮すると、決して高い投資ではありません。

  • 認知症になっても家族が財産管理を継続できる
  • 成年後見制度と比べて長期的には費用が安い
  • 相続税対策も同時に実現できる
  • 家族間でのトラブルを未然に防げる

大切なのは、親御さんが元気なうちに家族でしっかりと話し合い、最適な方法を選択することです。福井県にお住まいの親御さんをお持ちの方は、まずは専門家に相談して、具体的な費用や設計方法について詳しく聞いてみることをお勧めします。

家族信託は、単なる法的手続きではなく、家族の未来を守るための大切な準備です。費用だけでなく、その効果や意義も含めて、総合的にご検討いただければと思います。


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寄稿者:司法書士 渡邉 健介