認知症による口座凍結の仕組みと対策|司法書士が解説する家族が知るべき手続き

2026.03.12
認知症による口座凍結の仕組みと対策|司法書士が解説する家族が知るべき手続き

認知症と口座凍結の基本的な関係

高齢化社会が進む現代において、認知症患者の増加に伴い、銀行口座の凍結問題が深刻化しています。認知症が進行すると、本人の判断能力が低下し、金融機関は口座の利用を制限することがあります。この措置は本人の財産を保護するためのものですが、家族にとっては日常生活に大きな影響を与える問題となります。

認知症による口座凍結は、単に口座が使えなくなるだけでなく、医療費の支払いや生活費の確保など、切実な問題を引き起こします。しかし、適切な知識と準備があれば、これらの問題を未然に防ぐことが可能です。

なぜ認知症で口座が凍結されるのか

判断能力の低下による法的な問題

認知症が進行すると、本人の判断能力が著しく低下します。民法では、意思能力を欠く状態で行われた法律行為は無効とされており、銀行取引も例外ではありません。金融機関は、認知症の顧客が行った取引が後に無効とされるリスクを回避するため、口座の利用を制限するのです。

金融機関のリスク管理

銀行は、認知症の顧客から預金の払い戻しを求められた場合、その取引が有効かどうかを慎重に判断する必要があります。万が一、判断能力を欠く状態での取引を認めてしまうと、後に家族から責任を問われる可能性があるため、口座凍結という保守的な措置を取ることが多いのです。

口座凍結が発生するタイミング

銀行が認知症を知るきっかけ

銀行が顧客の認知症を知るタイミングは様々です。最も多いケースは以下の通りです:

  • 家族が銀行に相談した場合
  • 窓口での本人の様子から判断した場合
  • 成年後見開始の審判の通知を受けた場合
  • 同じ質問を繰り返すなど、異常な行動が見られた場合

具体的な事例

田中さん(75歳)の事例をご紹介します。田中さんは軽度の認知症を患っており、ある日銀行で同じ預金の引き出しを繰り返そうとしました。窓口の職員が異変に気付き、家族に連絡。その結果、田中さんの口座は一時的に凍結され、家族が成年後見制度を利用することになりました。

口座凍結が与える影響

日常生活への影響

口座が凍結されると、以下のような深刻な問題が発生します:

  • 医療費や介護費用の支払いができない
  • 公共料金の自動引き落としが停止する
  • 年金の受け取りができなくなる
  • 施設入所費用の支払いに支障をきたす

家族の経済的負担

本人の口座から生活費を賄っていた家族にとって、口座凍結は大きな経済的負担となります。特に、高額な医療費や介護費用を一時的に立て替える必要が生じ、家計を圧迫することも少なくありません。

口座凍結の解除方法

成年後見制度の利用

最も確実な解決方法は、成年後見制度の利用です。家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行い、後見人が選任されれば、後見人が本人に代わって銀行取引を行うことができます。

成年後見制度には以下の種類があります:

  • 後見:判断能力を全く欠く状態
  • 保佐:判断能力が著しく不十分な状態
  • 補助:判断能力が不十分な状態

任意後見制度の活用

事前に任意後見契約を締結していた場合は、本人の判断能力が低下した時点で、任意後見監督人の選任を申立てることで、任意後見人が財産管理を行うことができます。

予防策と事前準備

家族信託の活用

近年注目されているのが家族信託制度です。元気なうちに信頼できる家族に財産管理を委託する制度で、認知症になっても口座凍結を避けることができます。

家族信託のメリット:

  • 柔軟な財産管理が可能
  • 成年後見制度よりも費用が抑えられる
  • 家庭裁判所の監督を受けない
  • 二次相続対策も同時に行える

任意後見契約の締結

判断能力があるうちに、信頼できる人と任意後見契約を結んでおくことも有効な予防策です。公正証書で作成する必要がありますが、自分の意思を反映した後見人を選ぶことができます。

代理人カードの作成

一部の金融機関では、本人の同意のもとで家族に代理人カードを発行するサービスを提供しています。ただし、認知症が進行した後では作成できないため、早めの検討が必要です。

司法書士ができるサポート

成年後見申立ての支援

司法書士は、成年後見開始の申立て手続きを代行いたします。複雑な書類の作成から家庭裁判所への提出まで、一連の手続きをサポートします。

家族信託の設計・手続き

各ご家庭の事情に応じた家族信託スキームの設計から、信託契約書の作成、不動産の信託登記まで、総合的にサポートいたします。

任意後見契約の作成支援

任意後見契約書の作成支援や、公証役場での手続きのサポートを行います。また、将来的な任意後見監督人選任申立ても対応可能です。

まとめ

認知症による口座凍結は、適切な準備により予防することが可能です。まずは現在の状況を整理し、最適な対策を選択することが重要です。

すでに認知症が進行している場合は、速やかに成年後見制度の利用を検討しましょう。一方、まだ判断能力に問題がない場合は、家族信託や任意後見契約などの予防的措置を検討することをお勧めします。

どの制度を利用するかは、ご本人の状況や家族の意向によって異なります。専門的な知識が必要な分野ですので、まずは司法書士にご相談ください。早めの対策により、ご家族の負担を大幅に軽減することができます。

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