遺言書の法務局保管制度とは?親の終活で知っておきたいメリットと手続き方法

2026.05.25
遺言書の法務局保管制度とは?親の終活で知っておきたいメリットと手続き方法

遺言書の法務局保管制度って何?

「親が高齢になってきて、そろそろ遺言書のことも考えなければ…」そんな風に思っている方も多いのではないでしょうか。特に、福井や石川、富山といった北陸地方にご両親がいらっしゃる首都圏・関西圏の方にとって、遺言書の管理は物理的な距離もあり、より心配な問題かもしれません。

2020年7月にスタートした「遺言書の法務局保管制度」は、そんな皆さまの不安を解消する画期的な制度です。この制度により、自筆証書遺言を法務局で安全に保管してもらえるようになりました。

遺言書の法務局保管制度とは、遺言者が作成した自筆証書遺言を、法務局(遺言書保管所)で預かり、安全に保管してくれる国の制度です。従来の自筆証書遺言の課題だった「紛失」や「改ざん」のリスクを大幅に軽減し、相続手続きもスムーズになります。

従来の遺言書の問題点と法務局保管制度のメリット

従来の自筆証書遺言の課題

これまでの自筆証書遺言には、以下のような問題がありました:

  • 紛失・破損のリスク:自宅保管では火災や災害で失われる可能性
  • 発見されない可能性:相続人が遺言書の存在を知らない
  • 改ざんや隠匿の危険:第三者による不正な操作
  • 家庭裁判所での検認が必要:手続きに時間と費用がかかる

法務局保管制度の5つのメリット

1. 安全・確実な保管
法務局という国の機関で原本を保管するため、紛失や改ざんの心配がありません。災害時の備えも万全です。

2. 家庭裁判所での検認が不要
相続開始後、家庭裁判所での検認手続きが不要になり、相続手続きがスムーズに進められます。

3. 全国どこからでも証明書等の請求が可能
遺言書を保管した法務局以外でも、全国の遺言書保管所で証明書の交付や遺言書の閲覧ができます。

4. 相続人への通知制度
相続開始後に相続人等が遺言書の存在を照会した場合、他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知されます。

5. 形式面のチェック
保管申請時に、法務局で遺言書の形式面(日付、署名、押印等)をチェックしてもらえます。

具体的なケーススタディ

ケース1:東京在住のAさん(52歳)の場合

Aさんは福井市にお住まいの80歳のお母様の終活をサポートしています。お母様は自筆で遺言書を書かれましたが、「この遺言書、どこに保管すればいいの?」という相談を受けました。

従来なら自宅の金庫や銀行の貸金庫を検討するところですが、法務局保管制度を利用することにしました。福井地方法務局で保管手続きを行い、Aさんも遺言書が確実に保管されていることを確認できて安心されました。

数年後、お母様が亡くなられた際、Aさんは東京の法務局で遺言書情報証明書を取得でき、検認手続きも不要だったため、相続手続きを迅速に進めることができました。

ケース2:大阪在住のBさん(48歳)の場合

Bさんのお父様は石川県にお住まいで、遺言書を自宅に保管されていました。しかし、「本当にこれで大丈夫なの?」という不安から、法務局保管制度への切り替えを検討されました。

司法書士法人GKに相談したところ、現在の遺言書の内容確認と、法務局保管制度利用のためのサポートを受けることができました。お父様ご自身で金沢地方法務局に出向き、安心して保管手続きを完了されています。

保管手続きの流れと必要な書類

手続きの基本的な流れ

  1. 遺言書の作成:法務省が定める様式に従って自筆証書遺言を作成
  2. 保管申請書の作成:法務局のホームページからダウンロード可能
  3. 保管する法務局の選択:遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地を管轄する法務局
  4. 予約の取得:事前予約制のため、法務局に電話またはインターネットで予約
  5. 法務局での手続き:遺言者本人が出頭して申請(代理不可)

必要な書類

  • 遺言書(自筆証書遺言)
  • 保管申請書
  • 本籍の記載がある住民票の写し(作成から3か月以内)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 手数料3,900円

北陸地方の対応法務局

福井県:福井地方法務局本局
石川県:金沢地方法務局本局
富山県:富山地方法務局本局

遺言書作成時の注意点

法務局保管制度を利用する場合でも、遺言書自体は法的要件を満たす必要があります。

自筆証書遺言の要件

  • 遺言者が全文を自筆で書くこと(財産目録は除く)
  • 日付を明記すること
  • 署名・押印をすること
  • 用紙はA4サイズ、片面のみ使用
  • 各ページに余白を設けること

これらの要件を満たさない遺言書は、法務局で保管を受け付けてもらえません。不安な場合は、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

相続開始後の手続き

遺言者が亡くなられた後、相続人等は以下の証明書を取得できます:

  • 遺言書情報証明書:遺言書の内容を証明する書類(相続手続きに使用)
  • 遺言書保管事実証明書:遺言書が保管されていることを証明する書類

これらの証明書は、全国の遺言書保管所で請求できるため、福井にお住まいだったご両親の遺言書について、東京や大阪からでも手続きが可能です。

まとめ:安心できる終活のために

遺言書の法務局保管制度は、従来の自筆証書遺言の課題を解決する優れた制度です。特に、遠方にお住まいのご両親を持つ方にとって、遺言書の安全な保管と相続手続きの簡素化は大きなメリットといえるでしょう。

ただし、遺言書の内容については専門的な知識が必要な場合も多く、一度は司法書士などの専門家に相談されることをお勧めします。適切な遺言書を作成し、法務局保管制度を活用することで、ご家族皆さまが安心できる終活を進めていけるはずです。

北陸地方での遺言書作成や相続に関するご相談は、地域に密着した司法書士法人GKまでお気軽にお声がけください。皆さまの大切なご家族のために、最適なサポートをご提供いたします。


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寄稿者:司法書士 渡邉 健介