家族信託の受託者は誰がなれる?適任者の選び方と注意点を司法書士が解説

2026.04.16
家族信託の受託者は誰がなれる?適任者の選び方と注意点を司法書士が解説

家族信託における受託者の役割とは

福井にお住まいの親御さんの将来を心配されている皆様、家族信託について検討されたことはありますか?家族信託は、親の認知症対策や相続対策として注目を集めている制度ですが、その成功の鍵を握るのが「受託者」の選任です。

受託者とは、信託財産(不動産や預金など)を預かり、委託者(親)の意向に従って管理・運用する重要な役割を担う人のことです。例えば、福井にある実家の管理や売却、親の介護費用の支払いなど、具体的な財産管理を行います。

東京や大阪にお住まいで、福井の親御さんのことを心配されている方にとって、「誰を受託者にするか」は非常に重要な判断となります。適切でない人を選んでしまうと、信託の目的が達成されないばかりか、家族間のトラブルに発展する可能性もあります。

受託者になれる人の条件

法的な要件

まず、法律上受託者になれる人の条件を確認しましょう。信託法では、以下の条件を満たす人であれば受託者になることができます:

  • 成年者(20歳以上の成人)
  • 日本国内に住所がある人(外国人でも国内居住者であれば可能)
  • 破産者でない人
  • 後見開始の審判を受けていない人

これらの条件は比較的緩やかで、多くの方が法的にはなることが可能です。重要なのは、法的要件を満たすだけでなく、実際に受託者としての責務を果たせるかどうかです。

実際の適性

法的要件以上に重要なのが、受託者としての適性です。以下のような資質を持つ人が望ましいとされています:

  • 信頼できる人格と責任感
  • 財産管理に関する基本的な理解
  • 長期間にわたって継続的に業務を遂行できる健康状態
  • 委託者や受益者との良好な関係
  • 適切な判断力と決断力

受託者になれない人・避けるべき人

法的に受託者になれない人

以下の方は法律上受託者になることができません:

  • 未成年者
  • 成年被後見人
  • 破産者で復権を得ていない人

また、信託契約で特定の人を受託者から除外することも可能です。

実際的に避けるべき人

法的には問題なくても、以下のような方は受託者として適さない場合があります:

  • 高齢で認知機能の低下が心配される人
  • 重篤な病気を患っている人
  • 金銭管理に問題がある人
  • 家族間での対立関係にある人
  • 多忙すぎて適切な管理ができない人
  • ギャンブルや借金などの問題を抱えている人

具体的なケーススタディ

ケース1:長男が受託者となった成功例

福井市在住の田中さん(75歳)は、東京在住の長男(48歳・会社員)を受託者として家族信託を設定しました。長男は定期的に福井に帰省し、実家の管理や父親の生活費の送金を適切に行っています。また、地元の司法書士法人GKと連携を取りながら、専門的な判断が必要な場面では適切なアドバイスを受けています。

この事例では、長男が責任感が強く、定期的に福井に足を運べる状況にあったことが成功の要因となりました。

ケース2:当初の受託者選任に失敗した例

石川県の山田さんは、大阪在住の次男を受託者に選任しましたが、次男が多忙な職業に就いており、適切な財産管理ができませんでした。信託契約書で受託者の変更条項を定めていたため、長女に受託者を変更することで問題を解決できました。

この事例から、受託者の選任時には、その人の生活状況や今後のライフプランも十分考慮することの重要性がわかります。

家族以外の受託者という選択肢

専門家を受託者にする場合

家族内に適当な受託者がいない場合、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することができないのか?と思われる方も多いと思います。しかし、家族信託では専門家が受託者になることは信託法の制約から現実的ではありません。信託銀行や信託法の免許を保有している場合を除き、ご家族や信頼できる方の中から受託者を選んでいただく必要があります。

複数人での受託という方法

一人の受託者に全てを任せることに不安がある場合、複数人で受託者になることも可能です。例えば、長男と長女の二人で受託者となり、お互いをチェックし合う体制を作ることができます。

受託者選任時の注意点

将来の変化も考慮する

受託者を選ぶ際は、現在の状況だけでなく、10年、20年先のことも考慮する必要があります。現在は元気な受託者も、将来は高齢になり、判断能力が低下する可能性があります。信託契約書には、受託者の辞任や変更に関する条項を必ず盛り込んでおくことが重要です。

受託者への説明と同意

受託者に予定している人には、事前に十分な説明を行い、同意を得ることが必要です。受託者の責任は重く、場合によっては損害賠償責任を負う可能性もあることを理解してもらう必要があります。

信託監督人の設置

受託者の業務を監督する「信託監督人」を設置することも検討すべきです。特に、遠方にお住まいで頻繁にチェックできない場合には、地元の専門家を信託監督人に選任することで、より安全な信託運営が可能になります。

まとめ

家族信託の受託者選びは、信託の成功を左右する重要な要素です。法的な要件を満たすことはもちろん、実際に長期間にわたって適切な財産管理ができる人を選ぶことが大切です。

福井にお住まいの親御さんを東京や大阪から支える皆様にとって、受託者の選任は簡単な判断ではありません。家族の状況、財産の内容、将来の見通しなど、様々な要素を総合的に検討する必要があります。

適切な受託者選びでお悩みの方は、家族信託に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。司法書士法人GKでは、福井県内の皆様の家族信託に関するご相談を承っており、受託者選びから信託契約書の作成まで、トータルでサポートいたします。

親御さんの将来に備えて、今から適切な準備を進めていきましょう。家族信託は単なる法的手続きではなく、家族の絆を深め、安心な未来を築くための大切な仕組みなのです。


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寄稿者:司法書士 渡邉 健介